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英語は構造を語り、日本語は心を映す?——参加者のことばから見る“気づき”のかたち

ことばが未来を形づくるとき


英語は構造を語り、日本語は心を映す?
英語は構造を語り、日本語は心を映す?


「未来を語る」という表現では少しイメージがずれてしまうかもしれません。


私たちP-Labのワークショップ『ポッシブルワールド・ディスカバリーセッション』は、「今の自分」を知ることから始まります。


ゲームを通して現れる自分の行動。 誰と仕事をして、どんな選択をして、何を優先するのか。それらを通して、「こうしたい自分」、「こんな未来ならいいな」という理想が、どこからとなくあらわれてくる。


そんな「これからの私」に出会うための時間。 そこに、ことばはどんなふうに響いていたのでしょうか?


参加者のことばに耳をすませる

ディスカバリーセッションは英語版と日本語版の2種類があります。単純に言語が違うだけで、ワークショップの内容はほとんど同じです。そのため、体験後のアンケートは全く同じ質問を英語と日本語で行なっています。


ポッシブルワールド参加後の記念写真
ポッシブルワールド参加後の記念写真(左:英語版、右:日本語版)

英語と日本語では、近似の満足度を示しつつも、その語られ方や気づき方には違いがありました。


英語話者のことば:構造と行動、そして現実を分析する視点

"Insightful discussion"

"Well-designed simulation"

"Power of group reflection"


これらは実際に反映されたフィードバックの一部です。たとえば「ゲームの流れがとてもよく設計されていた」「チームで話し合う時間が深い気づきをくれた」といった声が寄せられています。


英語言語者は、ワークショップの構造、ゲームの設計、ディスカッションの質などを評価する声が多くみられました。この正確で明瞭な語り口は、現実を分析しながら実感を語る、そんな英語ならではの言語的特性をよく表しているのかもしれません。


日本語話者のことば:感じたこと、動かされた気持ち

「リアルに感じた」

「行動が変わりそうだと思った」

「他の人の感動を見て、私も嬉しくなった」


これらもアンケートから寄せられた実際の声です。たとえば「2030年が現実のように感じられて、自分の選択にドキドキした」「終わった後もしばらく余韻が残って、心が温かくなった」といった、心の動きをともなう感想が多く寄せられています。日本語話者は、「感情」や「内面の変化」に元づいた表現が多く見られました。 構造的に分析するというよりも、「そのとき何を感じたか」「どんな気持ちが動いたか」に焦点を当てて語られる傾向があります。


ことばが変える「これからの私」

同じ体験をしても、使う言語によって、見え方や語り方は変わります。


ですが、それは対立ではなく、むしろ「多様性」の証であり、私たちの対話に新しい広がりをもたらしてくれるものです。


たとえば、英語では「行動 → 分析 → 気づき」という順序で語られることが多く、日本語では「感じる → 共感 → 気づき」という感情を起点とした語り方が見られます。この違いを聞き合うことで、わたしたちの「これから」はもっと広がっていくはずです。普段、何気なく使っている言葉に少し意識を向けてみると、自分の世界の見え方が変わってくるかもしれません。


そして次に誰かと対話をするとき、どんな言葉を使って、どんな風に世界を共有したいか。


そんな問いを、そっと心に残してもらえたら嬉しいです。


ことばの違いを超えて、共に探るポッシブルワールド

ポッシブルワールドは、唯一の正解を目指す場ではありません。


ことばや文化の違いをこえて、ずれや空白の中から、未来のかけらを探していく。


ことばの違いに耳をすませること。


それこそが、私たちが「これからの私」や「これからの世界」に向かうための、最初の一歩なのかもしれません。




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