「止めに行かないと、本当に止まらない」
- P-Lab. Admin
- 4月7日
- 読了時間: 3分
更新日:4月9日
海に関わる人の言葉から考える、わたしたちの立ち位置
「止められないかもしれない。でも、止めに行かないと本当に止まらない。」

この言葉は、大分県佐伯市で海藻の加工卸や一次生産者の販促支援を手がける株式会社ベース代表、平川摂さんの口から発せられました。平川さんは、海に日々向き合う仕事をしているからこそ、現実として目にしている“変化”があるといいます。これは、初めて参加されたポッシブルワールド・ディスカバリーセッションのインタビューの中で語られた言葉でした。
近年、海水温の上昇が顕著になっています。それは決して「自然の変化」ではなく、人間の活動によって引き起こされたものだという認識を、平川さんは強く持っておられました。そしてその変化は、「自然に任せておけば元に戻る」といったレベルでは、もはやないと感じているそうです。
「任せられへんやろ、自然に」と語るとき、そこには現場に立ち続けている方だからこそ感じる“切実さ”がありました。
一方で、こうした地球規模の問題に対して、個人にできることには限りがあります。「自分ひとりで止められるわけがない」という無力感があるのも、また事実です。それでも平川さんの言葉は、「それでも止めに行く」という姿勢の重要性を伝えていました。
環境問題に限らず、現代社会には“止められない流れ”があちこちに存在しています。消費、便利さ、加速する生活のスピード――それらは、もはや当たり前のように私たちの暮らしに根付いています。
だからこそ、ほんの小さなことでも、そこに意識を向けることが第一歩になるのではないでしょうか。たとえば、春の季節に合わせて部屋を片づけるという、日常の中のささやかな行動も、その一つかもしれません。無意識のうちに積み重ねてきたものを見直して、手放してみる。そうした行動もまた、「止められない流れ」を断ち切ろうとする小さな選択といえるのではないかと感じます。
「止めに行く」という行動は、大きな声や派手なアクションである必要はありません。身の回りのことに目を向け、小さな違和感に立ち止まること。それだけでも、「今、自分はどちら側にいるのか」を問い直すきっかけになります。
平川さんが語られた言葉は、環境の現実を訴えると同時に、私たち一人ひとりが「どう在るか」を静かに問いかけているように感じられます。
止められないものに囲まれた今だからこそ、止めに行く側でいたいという意思が、より大きな意味を持ち始めているのではないでしょうか。
大分県佐伯市で海藻の加工卸業や一次生産者の販促支援などを行なっている株式会社ベースの代表であり、元さいきあまべ食べる通信編集長の平川 摂さんに、初めてポッシブルワールド・ディスカバリーセッションに参加してみての感想をラジオで聞かせていただきました
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