
日本には、落語や伝統的な物語文化があり、元々ストーリーテリングが根付いています。しかし、新しいビジネス手法として「ストーリーテリング」がカタカナで輸入されると、あたかも新しい概念のように捉えられがちです。
しかし、実際にはストーリーテリングは日本の文化に深く根付いており、私たちの日常の中にも存在しています。落語や講談、昔話の伝承など、日本人は昔から「物語る」ことで知識や教訓を伝えてきました。海外の概念として取り入れるのではなく、日本独自の「物語り」として、その本質を見直すことが重要です。
日本における「物語り」
ストーリーテリングとは、日本語では以下のような意味で昔から存在しており、特別なものではありません。
物語る(ものがたる) - 単純に「物語を語る」という意味で、最も直接的な訳。
語り(かたり) - 昔話や伝承を語る行為として使われる。落語や講談にも通じる。
説話(せつわ) - 仏教説話や古典の中で使われる言葉。教訓的な物語を伝える意味合いを持つ。
語り継ぐ(かたりつぐ) - 文化や歴史、教訓を後世に伝える意味が込められている。
これらの言葉が示すように、日本にはもともと「物語り」の文化が根付いていました。そのため、ストーリーテリングは決して新しいものではなく、日本人の思考や価値観の中で生き続ける伝統なのです。
温故知新と「物語り」
「温故知新」という言葉の通り、日本には過去の知恵を振り返り、それを現代に活かす文化があります。「物語り」もその一つであり、単なる技術ではなく、私たちの生活や社会の中で自然に息づいているものです。たとえば、渋沢栄一の『論語と算盤』に見られるように、日本の経営哲学や価値観の根底にも物語があります。
今、改めて「物語り」の価値を再評価し、日本独自の形で定義し直すことが求められています。これにより、私たちはすでに持っている文化を活かしつつ、新たな価値を生み出すことができるのではないでしょうか。
「物語り(ストーリーテリング)」は決して新しい概念ではなく、日本の文化や歴史の中で息づいてきたものです。私たちは、既存の価値を見直し、温故知新の精神で「物語り」を再定義することで、その本質をより深く理解し、活用することができます。
ポッシブルワールド・ゲームホストであり、株式会社ナガイマーケティング研究所の代表であるマーケティング✕組織開発コンサルタントの長井菜穂子さんを招いたラジオの中で、ストーリーテリング、温故知新について語りました